梅一輪 一輪ほどの あたたかさ
そう詠ったのは松尾芭蕉の弟子、服部嵐雪です。厳しい寒さの間にも、少しづつ暖かさを感じられる日が増えてきましたね。
写真は会社の梅鉢の白梅。これから見ごろを迎えるお花見の名所に出かけるのも良いですが、身近なところで春を楽しんでみるのもいいですね。
スイスとドイツから来たランドスケープのデザイナーを目指す学生たちを弊社研修所に迎えて、日本庭園の研修を行いました。
スタッフとしていろいろお世話をさせていただいたのですが、そのお礼にと研修生たちからスイスのアーミーナイフをいただきました。
いただいた時、梱包の袋に写真のような五円玉がくっついていて、最初はお菓子か何かかと思い、「五円玉なんて変な飾り、スイスではこういう習慣でもあるのだろうか。」とぼんやり思っていました。
その後、梱包を解いて中身を見てみると、スイスの有名メーカーのアーミーナイフが出てきました。
スイスで自慢の一品。間違いのない定番で感謝の意を表してくれたんだと勝手に腑に落ちていると、研修生からプレゼントの説明がありました。
「アーミーナイフはスイスを代表する良品ですが、日本では刃物を贈り物にすることは縁を切る不吉なものとして敬遠されるという風習があることを知って、ご縁が切れないようにとの願いのもとご縁を象徴する五円玉を結びつけてプレゼントにしました。」
とのこと。
スイスの習慣かな?なんて浅はかにも思っていたことを恥ずかしく感じると同時に、相手のことをここまで深く思いやる、なんて日本的な発想なんだろうととても感心しました。
研修生のみなさんは、日本文化にとても関心があり、とうとう日本にまで来て日本庭園を勉強しているという人たちなので、当たり前なことなのかもしれません。
でも異文化間の争いで世界的にギスギスしてきている昨今、国や文化を越えて、互いを思いやり、人と人が交流する意義の大きさを改めて実感した瞬間でした。
相手を思いやる気持ち本当に大切ですね。そういう気持ちを忘れず仕事にも取り組みたいと思います。
上の写真の樹木は、先日撮影した落葉したイヌシデです。
何気なく剪定作業前の状況確認をしていたら、枝の先端に何か丸いものが見えます。
なんだろう?と見てみたら、下の写真がその部分。枝先に丸くなった冬芽があり、
その手前には円錐形をした普通の冬芽があります。
「冬芽」は落葉樹だけでなく常緑樹でも前年から形成される翌春に開く葉や花の赤ちゃん、
というような組織で、春になるとこの芽が展開し、花を咲かせたり、新しい葉になります。
樹種により花芽と葉芽は大きく形が異なりますが、写真のイヌシデでは花芽はこんなに丸くなりません。
不思議に思って調べてみると「イヌシデメフクレフシ」というダニの一種によって形成された「虫こぶ」であることが判明。
虫こぶは菌や虫などによって本来の形状が変形された植物の一部(枝、葉、幹など様々)のことを呼び、
種により、季節により、いろいろなものが見られます。この場合は冬芽が変形したもので、
この「イヌシデメフクレフシ」は、何故か頂芽(枝の先端にある芽のこと)にしかできないそうです。
確かに上の写真を見てみても枝の先端にばかり丸い虫こぶが見えます。
うーむ…頂芽優勢だからダニにとっても条件良く虫こぶがつくれるのでしょうか?
思い当たる「フシ」はあるものの、答えはこの「フシ」の中…、といったところでしょうか?