唯一無二の答え


『フェルマーの最終定理』という本を読みました。350年以上も解くこと数学最大の難問を解き明かすまでのストーリーですが、 “正しい答えだという事を正しいと証明するかが難しいか” を論理上の数学と植物と通ずるなぁと思って読んでいました。ヒューケラ
植木も弱ったり、枯れたりしてしまう事がありますが、”これ”と原因特定する事が難しいです。なぜなら病気や虫に限らず、水分や廃棄ガスなど様々な要因があり、樹木医さんでも即断つかないものです。

数学のように真理の解が生まれればよいのですが、生きものとなると唯一無二の答えを出し難く、だから経験と技術の世界なんでしょうね。

何かお困り事がありましたら実績豊富な小杉造園へお問合せ下さい。

小杉造園株式会社URL:http://kosugi-zohen.co.jp/

適材適所2


問題です。どの棒が、イチョウでしょうか?

Ichou 日本の街路樹は、台風の季節がくる前に丸裸にされてしまいますね。防災という観点では、できるだけ風を受けないようにして倒れ難くする。強剪定してしまえば、しばらくメンテナンスしなくて済む。効率的で理にかなった管理ですよね。

でもでも、最近は夏が長く・暑く、9月10月でも緑陰が欲しいですよね。せっかくの街路樹も「棒」では、味気ないしなぁ。と思いませんか?

きっと、環境的な側面を鑑み、これからの街路樹管理は変わってくると思います。変わるといいな。

私は、大きな地方都市で生まれ育ちました。その街の街路樹は、それはそれは立派なものでした(過去形)。緑の仕事に携わるようになり、幸運にもこの街の緑化行政の中心に携わってきた方(故人)とお話をさせていただく機会がありました。

戦中、疎開させてあった高木を戦後に移植してきた。その後は、剪定予算を電線の保護や補助信号の設置などに充当する努力をして、できる限りの「街路樹無剪定」管理を貫いてきた。とおっしゃっていました。幸いにして、そのことが交通事故や台風被害を助長したことはなかっとのことでした。その結果、戦後数十年を経て抱えきれないような太さの街路樹になったのです。

これだけの話しで終われば、一つの信念を持って緑化行政に携わった方の立派な物語なのですが・・・久しぶりに帰省した生まれ故郷の駅前大通は、電線地中化の工事が完了し、ピカピカになっていました。誇らしげに、国の補助金によるところの大きな工事であると看板が出ていました。哀れ、抱えきれない太さのイチョウは伐採され、腕の太さにも満たないツバキとハナミズキになっていました。

ふるさとの皆さん、緑陰のない大通り、ピカピカ舗装の照り返しで熱中症にならないように、お元気でお過ごしください。電線地中化の工事はさておき、幅員数十メートルの駅前大通りの街路樹にツバキとハナミズキはないよなぁ・・・設計した人は、どういう審美眼しているんだろう。

なぜ木が枯れたでしょうか?


とあるマンションでの出来事。
弊社で初年度のみメンテナンスを行い、その後は他の造園屋さんが行っていました。年が経ち中庭の木が1本枯れ、なぜでしょう?と言う問合せを頂きました。

初年度時点では異常なく、中庭には同様の種類の木が何本もあり1本だけ枯れたということは、施工時の樹種選択が不適切であったとは言い難く、個体が弱かったのか、それとも致命的になる程誤った管理をなされたのか。
植物は生きものです。ストレスを感じる事も、気象条件で体調を崩すこともあります。私達は年間管理を通じて植物の機微を感じ取り、ご報告や管理作業内で出きる限りの処置を施し、必要ならば改善提案をお勧めする事がプロの仕事だと思っています。
経年変化を看てきた今の造園屋さんに聞かれた方がよく分かるはずですが、経過報告が足りずマンション管理会社さんも原因追求ができない状態で弊社に問合せがきた次第です。

そのマンションでは、当時弊社のメンテナンス費用より安く、同等内容のお手入れを実施できるとの事で変更されたそうですが。
“価格と価値”再考してみてはいかがでしょうか。

植物だってストレスたまります!


私の住む部屋の前に、いつの間にか野草が生えていました。結構な勢いで生長して、今では雨水管周りを埋め尽くすほど大繁茂!すごいなーと感心しながら毎日見ていました。しかし、先日誰かに踏まれたのか、広い範囲で茎が倒れているのを発見しました。超ショック!大切に育ててたのに!(見てただけですが)水遣りもしてたのに!(鉢植から流れ出て行った水ですが)

倒圧によるゴシキナンテン状況 倒圧によるゴシキナンテン状況

改めて思ったのが、植物にとって人に踏まれるということは、ダメージがとても大きい、ということです。こちら植えてから植栽直後と約2年後の状態です。ほとんどの株が無くなり、残っているものも枝葉がごくわずかです。どうやら、近所に小学校があり、登下校中の子供たちが遊んで中に入っていたようです。毎日踏まれて固くなった地面に、植物は根を張れません。なにげなくの人の行為が植物の生育に、大きなストレスになるのです。

こういった皆様が気付きにくい緑の状態をプロとしてご報告、改善の必要があればご提案をします。この場合だと、柵等を設置して物理的に入れないようにするなど対策もあります。ただし、やはり一番大切なのは“踏まない”ということ。物理的対策を施しても、ルールを提示しても通用しない人も残念ながらいますからね。お庭の植物は人工的に植えられたもの、 植物だってストレスをかかえて頑張ってます 。愛でこそすれ、読んで字の如く足蹴にはしないでー!

適材適所


今の経済状況下、人間の世界では「適材適所」なんて言っていられません。労働意欲のある方々にできるだけ仕事をしてもらえるよう、大手企業でワークシェアリングに必至です。

もちろん、植木の世界にも「適材適所」があり、人間同様に「活き活きとするもの」「目に見えて元気がなくなるもの」と正直な反応が現れます。

Shara_2 前回記事のシャラ、都会では比較的まともに育っている方ですね。今日の写真は、適所に置かれなかったシャラ。上も横も先端部は枯れ状態。せっかくマンション緑地の主役の位置(エントランス)を与えられたのに、その力量を発揮できず瀕死の状態です。後に映っているサザンカも、チャドクガ(害虫)に蝕まれ葉を食われていますが、健気に紅白の花を咲かしています。

さて、恐らくこのマンションでは、プロの設計士が「シャラを植えよう」と決め、プロの植木屋が「このシャラを植えます」と仕事を請けて完成したでしょう。どうして所属の違うプロが何人も携わって、こんまメチャクチャをやるのでしょうか?

ほぼ一日光があたらない、切通しの立地で非常に風が強い。シャラがきれいに育つはずがありません。シャラもかわいそうだが、事業主(お客さん)も気の毒です。

植木だけでなく、傲慢な設計士や責任を負わない植木屋も適材適所。知ったかぶりで無責任な仕事をされないように、このブログをお読みのみなさんは気をつけましょう。

植木に関して心配なことは、コメントを投稿してください。「適材適所」になるように、お答えしますよ。

温暖化でしょうか


Img_3319_5冬になり落葉樹から葉が落ちて、緑の少ない東京でも、野鳥の鳴き声や姿がよく観察できるようになりました。

先日やけに鮮やかな色の鳥が木に止まったり、飛んだりしているなぁと思って近づいてみたら、黄緑色をしたインコでした。本来オーストラリア等の暖かい所に生息のはずが、東京の環境にも順応したのか、オーストラリア並に暖かくなってきたと言う事でしょうか。何より電線に止まっている姿は壮観でした!

マンション植栽のシャラ こちらは、ヒメシャラという木です。樹形のやわらかさや紅葉の美しさで庭木として一時流行でたくさん植えられました。本来は涼しい気候条件に生育する植物のため、近年の東京の暑さに耐えられないのか、徐々に衰弱や枯れが発生するようになってきています。一概に温暖化の影響と断定はできませんが、近年生きもの達の栄枯盛衰を感じるこの頃です。

大きくなったなぁ


ハッピーマンデーって、どうですか?たしかに三連休になれば、内需拡大、さまざまなコミュニケーション機会の増大・・・良いこともあるのでしょうが、今の経済環境下で如何ほどの効果が期待できるのだろう。

それに引き換え、毎年、若い方々の門出を国民あげてお祝いする日が変動するなんて、少し寂しい気がします。やっぱり成人の日は、1月15日だよね。と、ダブル成人の日を迎えた私は思う。

20年といえば、ふた昔?今は、もっと劇的な時の流れを感じますよね。20年前、図面は手書きだった。誰も携帯電話なんて持っていなかった。まだポケベルで呼び出される平和な時代でした。

私は既に緑を扱う業界に居ましたが、あの頃に植えた樹木を通りがかりに見ると、剪定されずに大きく成り過ぎたものもあれば、厳しい環境下でかろうじて生き延びているものもあります。

私が育った街は、街路樹無剪定の方針だったので、歩道に張り出したイチョウ、ケヤキ、クスノキなどの印象が強く心象風景に残っています。だいぶ経ってから当時の論文を偶然目にしましたが「○○市の街路樹無剪定」って、当時の役所担当者は随分頑張っておられたようです。剪定予算で電線に絶縁カバーを取り付け、補助信号機を設置し、樹木を伸ばそう!なんてキャンペーンがされていました。かっこいい!

かつて市道と国道、市道と県道が交わる交差点は、見ものでした。だって、市道の街路樹だけが素晴らしく立派でしたからね。久しぶりに田舎へ帰ると、電線地中化に伴い歩道がスッキリしていました。驚くことに、幹周り1.0m超のイチョウやクスノキは跡形もなく、親指ほどのハナミズキやツバキに変わっていました。ピカピカの舗装材と木陰を作れない街路樹。さぞかし夏は暑いことだろうな・・・

私がトリプル成人の日を迎える頃、田舎の目抜き通りの風景は、どのように成長しているのだろうか。

賀正


Hinode_2 新年あけましておめでとうございます。

今年も色々な事があるのでしょうが、皆さんにとって辛いことより楽しいことが一つでも多く訪れますように。

(2009年初日の出 岐阜城より)

年末に小杉造園のホームページをリニューアルしました。一昨年から始めたこのブログも、今回で丁度100回目の投稿を迎えました。本年も、変わらぬご愛顧をよろしくお願いいたします。